基礎医学
放射線技師の国家試験の科目で1番問題数が多い科目は基礎医学大要になります。
なので今回はどんなところが聞かれるのか簡単に書いていきたいと思います。
人体の構成
人体を構成する主要4大元素わかりますか?模試なんかでも聞かれると思いますがこちらは水素、炭素、窒素、酸素になります。
人体の約60%は水でできているので水素と酸素はたくさんあります。4大元素の中では窒素が1番少ないので忘れやすくなりますが、覚えておいてください。
新生児では約75%と、割合が多くなるので覚えておきましょう。
栄養血管と機能血管
血管には臓器を栄養するための血管と臓器の機能に関係する血管があります。
肺では気管支動脈が栄養血管になり、肺動脈、肺静脈が機能血管になります。
心臓では冠状動脈が栄養血管になり、大動脈、大静脈が機能血管になります。
肝臓では固有肝動脈が栄養血管になり、門脈が機能血管になります。
ちなみに、肝臓は固有肝動脈が30%門脈が70%栄養しています。
ホルモン
ホルモンに関係する問題はほぼ1問毎回あります。部位とホルモンの組み合わせが多いので今回は組み合わせを書いていきたいと思います。
下垂体前葉には◯◯刺激ホルモンが多いですが、そこはほぼ聞かれないので覚えなくて大丈夫です。
前葉では成長ホルモンと黄体形成ホルモン、プロラクチンを覚えましょう。
ちなみに下垂体中葉もほぼ聞かれないので飛ばします。
下垂体後葉はよく聞かれます。
こちらはオキシトシンとバソプレシンです。余裕があれば、成熟子宮を収縮、乳汁排出の促進、腎で水の再吸収促進など内容も覚えておきましょう。
松果体はメラトニンだけなので覚えやすいと思います。ちなみに松果体は生理的石灰化も起こりやすいのでそちらも覚えておいてください。
甲状腺はサイロキシン、トリヨードサイロニン、カルシトニンです。
副甲状腺のパラトルモンも混ざらないように気をつけてください。
副腎皮質もよく聞かれます。電解質コルチコイド(アルドステロン)、糖質コルチコイド(コルチゾール)、性ステロイド(アンドロゲン、エストロゲン)になります。
副腎髄質では、アドレナリン(エピネフリン)とノルアドレナリン(ノルエピネフリン)です。髄質と皮質で間違えないように気をつけましょう。
腎臓ではエリスロポエチンとレニンがありますが、聞かれるのはほぼレニンになるのでたくさんあるホルモン覚えられそうになければまずは、レニンを覚えましょう。
膵臓では細胞によって変わりますが、α細胞グルカゴン、β細胞インスリン、γ細胞ソマトスタチンになります。
続いて男女で分かれますが、
精巣はテストステロン
卵巣はエストロゲン、プロゲステロンになります。卵巣はプロゲステロンよりエストロゲンの方が聞かれると思います。
ホルモンは今書いたところの組み合わせと余裕があれば作用を一緒に覚えておくと1問確実に取れると思うので頑張ってください。
自分なりに語呂合わせを作ると覚えやすいと思います。
国家試験では出る確率の高い問題から勉強するのがいいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
基礎医学は他にもたくさんあるので時間がかかります。しかし、問題数が多いのでここで苦手な科目の分も点数を取れるようにしておきましょう。
脂肪抑制法とは?
MRIでよく使われる撮影法に脂肪抑制法があります。痩せて見える加工みたいですが、脂肪抑制法とは撮影範囲にある脂肪成分を黒くする撮影法になります。
脂肪抑制法を使うと何がいいのかと言うと、
名前のとおり、この撮影で黒くなったところは脂肪になるので脂肪か、そうではないのかの判断ができます。確実に脂肪とは言い切れないのですがそこは後で説明します。
次に隣接する臓器と腫瘍の境界を見やすくすることができます。
もう1つは造影剤を使った時に造影効果を見やすくするためです。造影剤はT1短縮効果を利用するため、造影後はT1WIを撮影します。
その時に周りの脂肪が白く見えてしまうと造影剤による効果が見にくくなるため、脂肪抑制法を利用し周りの信号を黒くしてコントラストをつけます。そうすることで目的部位が浮き出て見やすくなります。
脂肪抑制法の種類にはどんなものがあるかと言うと、CHESS法、STIR、DIXON法があります。
CHESS法は周波数差、STIRはT1緩和時間、DIXON法は位相差を利用したものになります。
CHESS法は脂肪と水の共鳴周波数の差を利用した撮影になります。
水と脂肪には3.5ppmの化学シフトが存在しています。
周波数差を求める式は静磁場強度×磁気回転比×3.5ppmになります。
そのため静磁場が強ければ強いほど脂肪抑制をかけやすい撮影になります。
デメリットとしては磁場の不均一に弱い撮影になります。
STIRはインバージョンリカバリー法を利用して縦磁化が0になるタイミングで撮影するため、脂肪のみを抑制するわけではなく脂肪と緩和時間が同じ成分も一緒に抑制されてしまいます。(血液を含んだ腫瘍など)
そのため非選択的脂肪抑制法とも言われています。
緩和時間を利用しているため磁場の不均一に強い撮影になります。
DIXON法とは位相差を利用した撮影になります。In phaseとOut of phaseから計算された画像になります。In phaseは水+脂肪の画像、Out of phaseは水−脂肪の画像になります。
撮影時間が長くなるのがデメリットになります。
病院ではそれぞれの脂肪抑制の特性によって使い分けをして撮影しています。
大きく分類分けをしましたがメーカーによって名前が違ったり、さらに細かく分類分けがされていたりするのでよかったら調べてみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
放射線技師あるある?
僕が思うあるあるを書きたいと思いますが、もしかしたら僕だけなのかもしれないです笑
胸部レントゲンで正面と側面(R→L)の撮影をする時に、「次は横向きで撮ります。右側を向いてください。」と説明するとなぜか左側を向く人が3割くらいいます。
どちらに向かって右側と説明が足りないのか、違う方向を向かれてしまうことがよくあります。
MRIやCTでベッドに寝て、頭側に移動して欲しい時に「頭側に進んでください。」や、「上に進んでください。」と説明するのですがこれも何故か3割くらいの人が足側に進んでしまいます。遊ばれているのか説明が足りないのかわかりません。笑
MRI検査では磁場の発生している場所に入るので問診票を書いていただき、体内金属の有無や、湿布、ホッカイロを貼っていないか、腕時計をしていないかなどチェックしていただきます。
とりあえず全部「いいえ」にチェックを入れている人が多く「はい」にいれて欲しいところも「いいえ」になっていることが多いので問診票の内容はしっかり読んで欲しいです笑
上の内容と同じような内容になりますが、本人確認でお名前と生年月日を聞いた時に「はい」と言われて会話が終わることが稀にあります。
もう一度聞いても「はい」と言われると耳が悪いんだなと思うのですが、最初に返事だけだと話を聞いてもらえなかったのか、聞こえてないのかわからないことがよくあります。
ゆっくり大きな声で話すのは大切だなと思いますね笑
胸部レントゲンの横向きで違う方向を向かれることがあるのはわかる人もいるんではないでしょうか笑
他にも何かあればコメントよろしくお願いします。
とくに勉強にはならない記事だと思いますが読んでいただきありがとうございました!
MRIのアーチファクト
前回はCTのアーチファクトについて書いたので今回はMRIのアーチファクトについて書きたいと思います。
MRIのアーチファクトにはメタルアーチファクト 、モーションアーチファクト、折り返し(エリアシング)アーチファクト、クロストーク、マジックアングルアーチファクト、打ち切りアーチファクトなどあります。
何個かアーチファクトを説明していきたいと思います。
メタルアーチファクト
こちらCTでもありましたが、CTとは違いストリークが出現することはありません。金属部分が黒く抜けてその周りもある程度黒くボケた画像になってしまいます。
シーケンスによって磁化率の影響を受け方が変わってきます。EPIが一番影響を受けやすく、次にGRE、SE、FSEの順になります。
なので、頭部撮影ではDWIやT2*(スター)で入れ歯やインプラント、コイルの影響を強く受けます。
BW(バンド幅)を広げることで抑制できます。
モーションアーチファクト
こちらもCTで紹介しました。MRIでは撮影時間が長いため、CTよりモーションアーチファクトが発生しやすくなります。
アーチファクトは位相方向に発生するため、腹部の撮影で呼吸によるアーチファクトを抑制したいときは左右方向に位相方向を向けることで目的部位にアーチファクトが入り込まないようにします。
他には加算回数(NEX)を増やしたり、ラジアルスキャンとゆう動きに強い撮影もあります。
加算回数を増やすと時間がかなり増えてしまうので注意が必要になります。
折り返しアーチファクト
体がFOV(撮像視野、有効視野)より大きいと反対側に、はみ出た分が折り返して入ってきてしまうアーチファクトになります。
腕を下ろして腹部の撮影をすると腕が折り返して入ってくることがあります。
対策としては、FOVを大きくして画像の外に体が無いようにしたり、オーバーサンプリングをすることや、位相方向に発生するので周波数方向と入れ替えたり、飽和パルスをかけて信号を抑制することで発生させないようにします。
クロストーク
撮影するスライスが重なっているとその部分が黒くなったり、スライスとスライスの間隔(ギャップ)が短いと干渉しSNが低下してしまいます。
腰椎の撮影でL5とS1部分でスライス角度を意識しないと重なってしまい、クロストークが発生してしまうことがあります。
スライス間隔はスライス厚の20〜30%は開けた方がいいが、インターリーブ(間隔をあけて励起させる)を利用することで抑制することができる。
マジックアングルアーチファクト
靭帯や腱が静磁場方向に対して55°の角度に走行していると発生し、高信号になるため損傷や炎症の誤診に繋がる。
TEが延長することで発生するため、T2WIでは変化ありませんが、T1WIとPDWIでは注意が必要です。
打ち切りアーチファクト
画像のコントラストが急激に変わるところで発生するアーチファクトで頭部でよく見られます。
このアーチファクトは位相方向、周波数方向のどちらにも発生しますが、ほとんどが位相方向に発生します。
対策としては、マトリクス数を増やしてピクセルサイズを小さくすることがあげられます。
他には外部からの電波を受信することで発生するジッパーアーチファクトの画像が出されてこれは何アーチファクトですか?と聞かれる問題もあります。
他にもアーチファクトはあるので、今日紹介したアーチファクト以外にどんなものがあるか調べてみてください。
今日も読んでいただきありがとうございました。
画像に影響するアーチファクト とは?
CTやMRIを撮るときに綺麗な写真撮りたいですよね! ですが、アーチファクトと呼ばれるものによって画像が見にくくなってしまうことがあります。今日はそちらを紹介していきたいと思います。
ちなみに国家試験でもよく聞かれるところではあるのでしっかり覚えておいてください。
今回はCTのアーチファクトについて書きたいと思います。
CTのアーチファクトですが、有名なものにモーションアーチファクト 、メタルアーチファクト 、ストリークアーチファクト 、リングアーチファクト などがあります。
モーションアーチファクト
撮影中に患者さんが動くことで写真がブレてしますことで発生します。患者さんが動きそうな場合は撮影時間を短くしたり、タイミングをみて撮影することが大切になります。
メタルアーチファクト
金属のものから強いストリークが発生します。入れ歯や手術により、人工関節を入れた人ではよく見られます。最近では再構成により、メタルアーチファクトを抑制することができるCTもあります。
ストリークアーチファクト
肩や骨盤などの骨に囲まれている部分に発生したり、特定の検出器、DASの異常により発生します。
骨に囲まれている部分のストリークアーチファクトはX線量が足りなくなってしまうことで発生します。
検出器やDASの異常は機器による問題になります。
シャワーアーチファクトはDASの異常、リングアーチファクトは特定の検出器の異常となっております。こちらも機器的なものですね。シャワーアーチファクトとリングアーチファクトの違いはしっかりと理解しておきましょう。
風車状(ウィンドミル)アーチファクト
こちらはヘリカルスキャンとゆう撮影で発生するアーチファクトでヘリカルピッチが大きいと発生するものになります。こちらは名前のとおりのアーチファクト なので覚えやすいと思います。
カッピング、キャッピング
こちらはビームハードニング(線質硬化)によって発生します。
CTは連続X線をしようしているため、低エネルギー部分が吸収されながら患者さんの体を通過します。これによりX線の線質が硬くなるとゆうことで線質硬化といい、骨で囲まれている頭でとくに発生します。
CTにはビームハードニング補正(BHC)があります。補正なしでは脳実質の辺縁が少し白く見えます。補正が強い(中心のCT値が上昇)とキャッピング、補正が弱いとカッピングというアーチファクトが発生します。
心臓CTではブルーミングアーチファクト(ぼけ)やバンディングアーチファクト(ズレ)がよく使われますが、国試ではあまり聞かれないと思いますので見たことある程度で大丈夫だと思います。
画像が無くてわかりにくいと思いますが調べるとすぐに出てくると思いますので気になったら調べてみてください。
造影剤とは?
造影剤とはCTやMRIで単純撮影(造影剤を使わない撮影)よりも見たい部位をはっきり見るためのものになります(コントラストをつける)。通常ではわかりにくに病気も造影剤の効果ではっきり見ることができます。
腫瘍性病変では造影剤による染まり方を見たり、周囲の血管の走行を見るために使われます。
他には下血や脳内出血、外傷の患者さんには出血部位を見つけるために使用したり、大動脈解離(血管が裂ける病気)では解離部位に前回と比較して広がっていないか見る目的で使用します。
ただし、どんな病気も造影剤を使えばよく見えるようになるわけではないので注意が必要です!なぜなら、造影剤を使う必要のない患者さんには使わない方がいいからです。
実は造影剤には副作用が発生する可能性があるからです。CTの造影剤では副作用の発生確率は3%くらいでMRIの造影剤では約1%くらいの頻度で発生すると言われています。発生頻度が違う理由はCTとMRIで使う造影剤が違うからです。
CTではヨード造影剤、MRIではガドリニウム造影剤を使用します。
MRIは磁場を使用しており、T1緩和時間とT2緩和時間を短縮させる効果があります。
では、副作用には何があるかと言いますと、軽度のものだと「発疹、かゆみ、吐気」などがあります。重度では「血圧低下、呼吸困難、意識消失」があります。ヨード造影剤は浸透圧が高いため血管内に入ると、浸透圧のバランスを整えようとするため、血管内や体内から水分が集まり、血管が拡張するため熱感があります。
たとえ、軽度の副作用が発生したとしても2回目に造影剤を使ってまた副作用が発生すると1回目の副作用より重症化することがあります。
更に、副作用歴がある人はない人よりも副作用の発生確率が高いと言われています。
ヨード造影剤では副作用歴がなくても、喘息がある人や糖尿病の薬を飲んでいる人、甲状腺疾患のある人は造影剤の取り扱いには注意が必要になります。
ガドリニウム造影剤では腎機能が悪い(透析中)患者さんへの投与は腎性全身性線維症の危険があります。
造影剤は比較的副作用も少ないですがゼロではないので、もし造影剤を使うことになった場合は心配なことは先生に質問してから検査を受けるようにしましょう!
では、今日も読んでいただいてありがとうございます。
おやすみなさい。
レントゲン撮影
健康診断では胸部レントゲン一枚で撮影が終わりますが、怪我をして骨折の疑いがある場合は基本的に正面と側面の二方向撮影します。
中には二方向に斜位や軸位といった斜めの角度から撮影して、目的部位がよく見えるように撮影依頼があることもあります。
病院で撮影する胸部レントゲンでは正面と側面を撮影することがありますが、背骨が曲がっている(側弯)の方だと肋骨も曲がっているので綺麗な側面が取れないこともあります。
そんな時は過去の画像と見比べて許容範囲かどうか確認することが必要です。 あまりにも左右のズレが大きいと撮り直しになることもあるので気をつけてください。
僕がレントゲンの中で難しいと思った撮影は膝の側面でした。どこを触れば膝が真横になっているのかわからず、何度も撮り直しをしました。
僕がポジショニングをする時にやっていたのは、患者さんを寝台に横向きで寝かせたら、撮りたい膝の外果と内果(外側と内側)を触って、患者さんの膝を動かした時に足が床と平行に動く角度を探していました。そのまま足を寝台に下ろすと、大体踵(かかと)側が浮く体勢になるので足首の下に少しクッションを入れていました。
それでも人によってそれぞれ形が違うので撮った画像を見て、角度を合わせるようにしてました。
これは誰もがぶつかる壁だと思っています。(もしかして自分だけかな、?笑)膝の側面は先輩の放射線技師にコツを聞くことをお勧めします。
膝の側面や肩のスカパラYとゆう撮影は放射線技師の腕が試されます。(他の撮影にも善し悪し?センス?は見られますが‥)
今日最初の腕が試される撮影が上手くいくとその日のモチベーションも上がるので練習はしっかりとしましょう。
それに、自分が撮れる撮影が増えると仕事も楽しくなってくるので、社会人一年目は大変ですが撮影方法や解剖の勉強をすることをオススメします。
色々な撮影ができるようになってくると「胸部レントゲンつまらないな」と思うこともあると思いますがつまらなくなるほど撮影したら次は何が見えているのか細かく確認するようにしましょう。
健康なのか何か病変があるのか判断できるようになれば、さらにステップアップに繋がります。
仕事に慣れてきたら、患者接遇や教えてもらった撮影方法を思い出してみるのも良いかもしれません!
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
まだ3年目の技師が偉そうにすみませんでした、これからも放射線技師について書いていきたいと思いますのでよかったらまた読んでください。
そろそろ国試で出そうなところも書いていこうかと思いますので学生の方もよかったら読んでみてください。
それではまた次回もよろしくお願いします。