MRIのアーチファクト

 前回はCTのアーチファクトについて書いたので今回はMRIのアーチファクトについて書きたいと思います。

 

 MRIのアーチファクトにはメタルアーチファクト 、モーションアーチファクト、折り返し(エリアシング)アーチファクト、クロストーク、マジックアングルアーチファクト、打ち切りアーチファクトなどあります。

何個かアーチファクトを説明していきたいと思います。

 

メタルアーチファクト 

 こちらCTでもありましたが、CTとは違いストリークが出現することはありません。金属部分が黒く抜けてその周りもある程度黒くボケた画像になってしまいます。

シーケンスによって磁化率の影響を受け方が変わってきます。EPIが一番影響を受けやすく、次にGRE、SE、FSEの順になります。

なので、頭部撮影ではDWIやT2*(スター)で入れ歯やインプラント、コイルの影響を強く受けます。

BW(バンド幅)を広げることで抑制できます。

 

モーションアーチファクト 

 こちらもCTで紹介しました。MRIでは撮影時間が長いため、CTよりモーションアーチファクトが発生しやすくなります。

アーチファクトは位相方向に発生するため、腹部の撮影で呼吸によるアーチファクトを抑制したいときは左右方向に位相方向を向けることで目的部位にアーチファクトが入り込まないようにします。

他には加算回数(NEX)を増やしたり、ラジアルスキャンとゆう動きに強い撮影もあります。

加算回数を増やすと時間がかなり増えてしまうので注意が必要になります。

 

折り返しアーチファクト 

 体がFOV(撮像視野、有効視野)より大きいと反対側に、はみ出た分が折り返して入ってきてしまうアーチファクトになります。

腕を下ろして腹部の撮影をすると腕が折り返して入ってくることがあります。

対策としては、FOVを大きくして画像の外に体が無いようにしたり、オーバーサンプリングをすることや、位相方向に発生するので周波数方向と入れ替えたり、飽和パルスをかけて信号を抑制することで発生させないようにします。

 

クロストーク

 撮影するスライスが重なっているとその部分が黒くなったり、スライスとスライスの間隔(ギャップ)が短いと干渉しSNが低下してしまいます。

腰椎の撮影でL5とS1部分でスライス角度を意識しないと重なってしまい、クロストークが発生してしまうことがあります。

スライス間隔はスライス厚の20〜30%は開けた方がいいが、インターリーブ(間隔をあけて励起させる)を利用することで抑制することができる。

 

マジックアングルアーチファクト 

 靭帯や腱が静磁場方向に対して55°の角度に走行していると発生し、高信号になるため損傷や炎症の誤診に繋がる。

TEが延長することで発生するため、T2WIでは変化ありませんが、T1WIとPDWIでは注意が必要です。

 

打ち切りアーチファクト 

 画像のコントラストが急激に変わるところで発生するアーチファクトで頭部でよく見られます。

このアーチファクトは位相方向、周波数方向のどちらにも発生しますが、ほとんどが位相方向に発生します。

対策としては、マトリクス数を増やしてピクセルサイズを小さくすることがあげられます。

 

他には外部からの電波を受信することで発生するジッパーアーチファクトの画像が出されてこれは何アーチファクトですか?と聞かれる問題もあります。

他にもアーチファクトはあるので、今日紹介したアーチファクト以外にどんなものがあるか調べてみてください。

今日も読んでいただきありがとうございました。