脂肪抑制法とは?

 MRIでよく使われる撮影法に脂肪抑制法があります。痩せて見える加工みたいですが、脂肪抑制法とは撮影範囲にある脂肪成分を黒くする撮影法になります。

 

 脂肪抑制法を使うと何がいいのかと言うと、

名前のとおり、この撮影で黒くなったところは脂肪になるので脂肪か、そうではないのかの判断ができます。確実に脂肪とは言い切れないのですがそこは後で説明します。

次に隣接する臓器と腫瘍の境界を見やすくすることができます。

もう1つは造影剤を使った時に造影効果を見やすくするためです。造影剤はT1短縮効果を利用するため、造影後はT1WIを撮影します。

その時に周りの脂肪が白く見えてしまうと造影剤による効果が見にくくなるため、脂肪抑制法を利用し周りの信号を黒くしてコントラストをつけます。そうすることで目的部位が浮き出て見やすくなります。

 

脂肪抑制法の種類にはどんなものがあるかと言うと、CHESS法、STIR、DIXON法があります。

CHESS法は周波数差、STIRはT1緩和時間、DIXON法は位相差を利用したものになります。

 

 CHESS法は脂肪と水の共鳴周波数の差を利用した撮影になります。

水と脂肪には3.5ppmの化学シフトが存在しています。

周波数差を求める式は静磁場強度×磁気回転比×3.5ppmになります。

そのため静磁場が強ければ強いほど脂肪抑制をかけやすい撮影になります。

デメリットとしては磁場の不均一に弱い撮影になります。

 

 STIRはインバージョンリカバリー法を利用して縦磁化が0になるタイミングで撮影するため、脂肪のみを抑制するわけではなく脂肪と緩和時間が同じ成分も一緒に抑制されてしまいます。(血液を含んだ腫瘍など)

そのため非選択的脂肪抑制法とも言われています。

緩和時間を利用しているため磁場の不均一に強い撮影になります。

 

 DIXON法とは位相差を利用した撮影になります。In phaseとOut of phaseから計算された画像になります。In phaseは水+脂肪の画像、Out of phaseは水−脂肪の画像になります。

撮影時間が長くなるのがデメリットになります。

 

 

 病院ではそれぞれの脂肪抑制の特性によって使い分けをして撮影しています。

大きく分類分けをしましたがメーカーによって名前が違ったり、さらに細かく分類分けがされていたりするのでよかったら調べてみてください。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。